臨床研究の概要

臨床研究とは

新しい治療法が一般的な治療法として認められるためには、その治療法に効き目があり、安全であることを確かめる必要があります。そのためにいろいろな試験をします。多くの場合は動物で試験を行った後に、人を対象とした試験へ、段階を踏んで進めていきます。このような、人を対象とする試験を「臨床研究」または臨床試験といい、新しい治療の効き目や安全性を調べる研究的な側面をもちます。現在、さまざまな治療を受けることが可能になっているのは、過去に行われた臨床研究に参加いただいた患者さんによりもたらされたものです。

この臨床研究は、「滲出型加齢黄斑変性」の患者さん本人の皮膚の細胞からiPS細胞(人工多能性幹細胞)を作り、それを網膜色素上皮細胞(RPE細胞)に変えて、RPEシートを作り、網膜の真ん中(おうはん)に移植することで、視機能の低下を防止し改善する新しい治療法の安全性と有効性を確認することが目的です。

はじめに、下記の点についてご注意下さい。

①この研究の対象疾患は「滲出型加齢黄斑変性」です。 萎縮型の加齢黄斑変性や網膜色素変性、糖尿病網膜症、緑内障など、他の眼科疾患は対象となりません。

②この研究の主な目的は安全性の確認であり、大幅な視力改善といった顕著な治療効果を期待するものではありません。

③この研究の被験者数は6名を予定しており、多くの患者さんが受けられるものではありません。

④この研究はiPS細胞を用いた臨床研究の初期段階にあります。この研究で安全性が確認された場合も、今後、新規治療法として確立し一般化されるまでには、長期にわたる研究開発が必要です。

 

網膜色素上皮シートの作製と移植

この臨床研究では、まず、患者さんの上腕部から直径4㎜の皮膚を採取し、高度に清潔が保たれた細胞培養センター(CPC)で培養します。この皮膚細胞から多分化能(様々な種類の細胞に分化できる能力)をもったiPS細胞を作製します。

このようにして作製した患者さん自身のiPS細胞から網膜色素上皮細胞(RPE細胞)を分化させ、さらに、移植に適したシート状に成長させます。皮膚を採取してからRPEシートが完成するまでには約10カ月かかります。完成したRPEシートは、様々な試験によりその安全性と品質を確認します。

 

 

完成したRPEシートを新生血管を取り除いた患者さんの網膜下に移植します。このようにして、傷ついたRPEをiPS細胞由来のRPEに置き換えることで、視機能が維持・改善される可能性があります。

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